医薬品業界における
温度ロガーTempViewの使用事例
医薬品物流における重要なテーマとして、2018年に厚生労働省より発出された「日本版GDPガイドライン」への対応が挙げられます。GDP(Good Distribution Practice)とは、医薬品の適正流通に関する基本指針となるもので、市場出荷後の医薬品が医療機関に届けられるまで、流通過程全体が対象とされています。
GDP対応のポイントのひとつとして、商品の品質の確保すること、特に温度管理を徹底し、その記録を文書として残すという対応が不可欠です。この対応を確実に実施するために、温度ロガーG-TAG TempViewは様々な場面で使用されています。
1. 保冷ボックスの庫内の温度測定
低温度帯での保管が必要な医薬品・医療機器の輸送には保冷ボックスが使用されます。例えば冷蔵管理の医薬品には5℃±3℃で、冷凍管理の医薬品には-20℃以下で管理されることが多いですが、各管理値に合わせた保冷ボックスの用意が必要です。このボックス内で温度が管理値から逸脱していないか記録を残すために、温度ロガーを用います。
またボックスの開閉時には温度変化が発生しますので、開閉のエビデンスとしても活用することができます。物流過程の管理における課題の一つとして、偽造品の混入や、すり替えの防止が挙げられますが、開閉記録としても温度データを確認することで、偽造品防止への効果が期待できます。
2. 運搬車両での温度測定
運搬車両の温度管理において特に注意すべき点として、車両の窓や輸送コンテナ開閉時に発生する温度変化が挙げられます。物流過程の中で、積み荷・積み下ろし作業時の開閉は避けられませんが、この時に温度管理値から逸脱した時間が許容時間を超えてしまうと商品の品質を損なうリスクが発生します。
特に医薬品においては、この保管条件逸脱許容時間の考え方をスタビリティバジェットと呼んでおり、各商品に対して信頼性試験の結果に応じた逸脱許容時間の設定がされています。逸脱許容時間を超えた場合には不良品となり、商品として扱うことができないため、時間的な温度記録も重要です。
3. 保管倉庫内の温度測定
各商品が決められた温度管理値で保管されていたのか記録を残すため、温度ロガーでの倉庫内の測定が必要になります。TempViewの測定範囲は-40~+80℃ですので、室温での温度管理から、冷蔵・冷凍での温度管理まで幅広い測定領域をカバーしています。また±0.4℃の測定制度を-30~+30℃の範囲で適用しており、医薬品のような厳しい温度管理が求められる業界でも十分に通用する温度ロガーです。
データ取得の際には、スマートフォンなどの携帯端末と無線通信して操作します。現場への持ち込みが容易なスマートフォンであれば、作業員の方が簡単にデータ取得し、そのデータをメール送信することができるため、現場で作業フローを完結させることができます。
4. トラックコンテナ内での温度マッピング
温度マッピングとは、複数の温度ロガーを室内に網目のように設置し、一定期間の測定データから、室内の温度分布の分析や、温度の最高点・最低点(ワーストポイント)を把握することです。
保管倉庫での温度マッピングの実施は一般的ですが、トラックコンテナ内での実施についても、要求される場合があり、倉庫での温度マッピングと同様の考え方で実施されます。
実施タイミングとしては、季節性の検証のために、夏季と冬季の実施が基本となり、コンテナ内の空調の実力値を把握する目的では、荷物が配置されていない、無負荷状態で実施されます。
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